ぼちぼち書きましょう。

気づけばFEエンゲージのことしか書いてない。

「僕が守ります!」と「僕が殺します!」

Twitterに動画をアップしてくださってる方がいたおかげで、邪竜の章のスタルークが必殺を出すときのセリフが「僕が殺します!」だと知った。ああ、まあそうなるよね…という感じと、その意味を考えたらつらいよなーという気持ちと、あれこれ。まだあんまり考えがまとまってないけど書いてみる。

本編スタルーク「僕が守ります!」

まずは前提としてある本編スタルークの「僕が守ります!」について。

本編スタルークは戦闘終了時、いつも自分が討ち倒した相手から顔をそむけ、手にした弓で視界を遮るように立ちすくんで、

「す、すみません」
「し、死んじゃいましたか…?」
「僕なんかが…」
「なんとお詫びすればいいか…」
「勝たないといけないんで…」

とか、弱々しく悲しげな声をあげる。自分の矢が相手を射抜いて死なせてしまったかもしれないことに動揺しているかのように。

心優しく繊細なスタルークにとって、敵とはいえ他人を傷つけたり死なせたりするなど本来とても辛いことなのだろう。それでもスタルークが戦う理由は、必殺の一撃を繰り出すときの言葉に込められている。

「僕が守ります!」
「ブロディアのため」

このときばかりは、人が変わったかのごとく低く冷静な声だ。

大切な仲間たちを、祖国を、民を、「僕が守る」という使命感と決意があるからこそ、腹をくくって冷酷に相手を射抜くことができるのだろう。

邪スタルーク「僕が殺します!」

さて、本編世界と鏡写し、邪竜の章世界のスタルーク。

兄を見限り自分が王になることを望み、そのために兄暗殺の謀計を巡らせていたらしき邪スタルークくん。救いのない世界で破滅への道を突っ走ってる感あってかなしすぎ怖すぎなんだけど、まあ、スタルークがそっち方向に覚悟を決めたら非情にそのぐらいできちゃうのかもしれないよな…という謎の納得感もある。

邪竜の章のブロディア兄弟の兵種は「EXロード」。ex-は「元~」「前~」を意味する接頭語なので、EXロードはいわば「元ロード」だ。その説明には「誇りを失い、騎士道を忘れた者」とある。かつては二人とも騎士道を重んじる誇り高き王族だったのだろう。

戦闘中、本編世界から来たラピス、シトリニカと対峙したときの邪スタルークはこんなことを言う。

「僕を恨んで出てきたんですか? 僕が守ると言ったのに、ラピスを守れなかった僕を」
「シトリニカ…? ああ、守れなかった君の姿を見るのは辛いです」

「僕が守ると言ったのに」と言うからには、邪スタルークも本編スタルークと同様、かつては「僕が守ります!」と言っていたのだろう。「ラピスは僕が守ります」「僕がシトリニカを守ります」そして、おそらくは「父上をお守りします」「兄上をお守りします」「神竜様をお守りします」とも。

(本編ザフィーアと邪スタルークとの戦闘前会話では、邪竜の章の世界のザフィーアはモリオン王を守って死んだとわかる。おそらくこの世界ではモリオン王も先の神竜対邪竜の戦いの中で命を落としたのだと思われる)

だけど、邪スタルークが守りたかった大切な人たち、臣下たちも、家族同然だった大公家の皆も、父も、そしてついには神竜様も、守ることができず死なせてしまった。それなのに自分は生き延びてしまった(本当に生き延びたのかどうかについてはここでは置いとく)。同じく生き延びた兄との絆は、すっかり綻んでしまった。

邪スタルークにはもう、「僕が守ります!」と宣言して守るべき人は誰もいないんだ。

だから、目の前の敵を討ち倒す行為はもう「僕が殺します!」でしかない。かつてのように「守るために戦う」ではなく、ただ「殺すために戦う」だけ。つらいな…。

スタルークの個人スキル「僕が守ります!」と同じ効果(周囲2マスの味方が攻撃を受けた時1ターンの間力+3)の邪スタルークの個人スキルは「能力誇示」というスキル名になっている。もう「守る」ために発動する能力ではないことを表しているのだろう。

 

だけどどうして、もはや守るべき人もいなくなった世界で、邪スタルークは自分が王になりたいと考えたんだろう?

「ブロディアのため」という想いだけは失うことなくずっと抱き続けた結果なのかな。兄が王ではブロディアを守れないと思ったから?

それとも単にもうだいぶ頭がおかしくなっちゃってるのか。自分は兄とは違って有能だと示したいのか。3章で邪スタルークが撃破されるとき、「僕が、王であれば…こんなことには……」って言う。これよくわかんないんだけど、自分が敗れたのは王ではなかったからだと理由付けしてる? だとしたらだいぶ狂ってるよなと思う。

邪竜の章の本編スタルーク「あ、暗殺!?」

いずれにせよ、兄上を「僕が殺します!」ってなっちゃうのヤバすぎだよな…。

…って一番思ったのは、この地獄のような異界のブロディアでの戦闘に駆り出されてきた本編スタルークくんだと思う。

本編スタルークは邪スタルークと対峙したとき、「違う世界のゴミカスです…」とか名乗っただけで、途中からは独り言いっててもはや会話になってない。「僕もこんな風になりたかったなあ…」なんて言ってる。あまりのスタルークらしさにくすっと笑いを誘う場面だった。

邪スタルークが本編スタルークに自分の中にある嫌悪すべき弱さを見たのと鏡合わせのように、本編スタルークは自分と同じ姿で自信に満ちた邪スタルークに、自分の中にもありうる自信あふれる強さを見たかもしれない。

だとしたら、その後で邪ディアマンドの言葉で知ることになる、邪スタルークによる暗殺の謀計の話は、本編スタルークにとって相当な衝撃だったはず。

実際、異界の自分自身と対峙したときよりも、異界のディアマンドとの会話のほうが本編スタルークくん、よほどテンパってる。「そんなことするわけないです!」「僕なんかが偉大な兄上にそんなこと畏れ多い!」ってもう、自分自身と異界の自分、自分の兄上と異界のディアマンド、混乱して何言ってるかよくわからない。そんな感じで、ここも笑いを誘う場面になってた。

だけど、この戦いの後、冷静になって考えてみたときに本編スタルークくん病むんじゃないかな、なんて思う。

「こんな風になりたかった」と理想を見た異界の自分は、異界の兄を暗殺しようとしてたんだ。「もしかしたら自分の中にもそんな狂気が存在しうるんじゃないか?」とか悶々と考えたりしそう。きっとまた悪い夢見ちゃうやつだよ、かわいそうに…(とか言いつつ妄想をふくらませて楽しむなどするんだ、ごめんな)

 

追記①
回想戦やって邪スタルーク必殺の動画撮ってきた。

追記②
邪スタルークくんが王になろうとしている意味と「僕が殺します!」についてさらに考えているうちにたどりついた妄想のようなものを書いた。

marie.hatenadiary.jp