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気づけばFEエンゲージのことしか書いてない。

邪スタルークくんのこと

昨晩、回想戦で邪竜の章3(ブロディア編)の戦闘前会話を回収した。初回プレイ時は対リュールと、弟vs弟、兄vs兄しか見てなかったから、臣下たちとの会話と兄vs弟の会話回収。やっぱ「ぐああ、つらいです、胸が苦しいです…!」ってなりながらやってて、もはやある種の自傷行為だよな、なんて思った。けど会話が存在するからには見ないわけにはいかないのだ。ちなみにシトリニカとザフィーアは、兄弟それぞれとの会話が用意されてたよ。

案の定、なんだか眠れなくなっちゃって、いろいろ考えた。邪竜の章の世界のスタルークと、本編のスタルークは何がどのぐらい反転してるのか、整理してみようと思う。結論とかは特にない、たぶん。


まずは本編の世界、私たちが良く知るスタルークについておさらい。

スタルークは自分に自信が持てない。
自己評価がおそろしく低く「自分には価値がない」と考えていて、自分のことを石ころ、ゴミ虫、ゴミカス、ゴミクズと自虐的に呼び、「僕なんて」「僕なんか」と口癖のように繰り返す。

そんなスタルークの性格を形成する大きな原因となったのが、優秀な兄王子ディアマンドの存在だ。幼少時から何かと兄と比較され自分に自信が持てず卑屈な性格に育ったと、ブシュロンやフォガートとの支援会話でスタルーク本人から、シトリニカとの支援でシトリニカの口から語られる。

とはいえ優秀な兄や周囲の人を恨むこともなく、むしろ兄の能力や人格の素晴らしさを全面的に認め、敬愛している。スタルークにとってディアマンドは大好きな自慢の兄上で、守るべき存在だ。

ディアマンドの身に何かが起こり自分が国王となる未来は、スタルークにとって万が一にも訪れてほしくない「望まぬ未来」だ。繰り返し夢に見てうなされるほどに。そんな未来にならないために戦おうと考えているし、兄上を守るためなら自分が死んでもいいと考えていることを、近しい立場や考えを持つセリーヌにだけは打ち明けている。


さてさて、本編の世界と鏡映しの邪竜の章の世界のスタルーク、邪スタルークくんは、本編のスタルークと何がどう裏返しになっているのかを逆から見ていく。

邪スタルークの方は、自分こそが国王にふさわしいと考え、自分が国王となる未来を望んでいるようだ。望む未来のために無能な兄が死ぬべきだと考え暗殺を謀ろうとしていたらしきことが、邪ディアマンドと本編スタルークの戦闘前会話で明かされる。何それこわい。

というのも、邪スタルークにとって気弱で決断力のない兄は王として認めたくない存在であるらしい。邪ブロディア兄弟が初めて登場する場面で邪スタルークは兄に「我が兄ながら情けないですね」と痛烈な言葉を投げかける。それに対して邪ディアマンドも「お前は我が弟ながら思考が足りん」と返し、兄弟仲がギスギスしてる様子を見せつける。

本編で神竜リュールとスタルークが出会ってすぐに、スタルークがディアマンドについて初めて語る言葉が「我が兄ながら、すごい御方です。僕はあの人の弟で幸せです」だった。同じ「我が兄ながら」と切り出してまったく逆向きの言葉を言ってる。

邪スタルークは自分に自信があって、自分には価値があると信じている。自信過剰ゆえに尊大で、兄をはじめ、他人を見下した態度をとる。

そんな感じで、邪スタルークくんは、本編スタルークくんといろんなことが鏡写しに反転した存在になってる。


では何もかもがまったく違うのかというとそんなことはなくて、反転する際の「軸」みたいなものはある。

ラピスやシトリニカと邪スタルークとの戦闘前会話では、邪竜の章の世界の2人がそれぞれ邪スタルークを守って死んだこと、邪スタルークは2人を守るつもりだったのに守れなかったことを今も悔やみ、悲しんでいることがわかる。

邪スタルークもやっぱり「僕が守ります!」と思っていたわけだ。きっと邪スタルークもかつて臣下や仲間たち、そして神竜様のことが大好きで大切に思っていたはず。そういえば、邪スタルークは悪い顔して他人を見下すくせに、口調がです・ます調なところがスタルークらしい。リュールと相対したときに出た言葉が「お前、何者ですか」だったのちょっとおもしろかった。

シトリニカと邪スタルークとの戦闘前会話で「僕があの時死ねばよかった。皆に、シトリニカに生きていて欲しかった…!」と語る邪スタルークに、シトリニカは「この世界のあなたは自信家に見えて、根っこは私の知るスタルークにそっくり」と返す。自分が死んでほかの人たちが生きるほうが良いというのは、まさに本編スタルークと同じ発想だ。だけど邪竜の章の世界では大切な人たちはみんな先に死んでしまって、邪スタルークは生き延びた(本当は死んでたのかもしれないけど…このときの本人はそう認識してる)。守れなかった後悔を抱えて、もう守るべきものもない。なんて孤独なんだろう。

邪スタルークvs本編スタルークの戦闘前会話、「…僕は自分自身に打ち克ってみせる!」ってそれ本編スタルークの方に言わせてやれや!って笑ったんだけど、邪スタルークくんは目の前に立つ本編スタルークくんを見て語る言葉を聞いてすぐに、幻術かなにかで自分の弱い部分を見せられていると感じるんだよね。ようするに自信がなく卑屈な考え方をする自分、弱い自分が自分の中にもいることを知ってる。自分自身と闘ってるとこ、やっぱりスタルークなんだよなあ…。


本編のディアマンドとスタルークが互いを認めあい、信頼しあうあたたかな関係を築いているのに対して、邪竜の章の世界のディアマンドとスタルークの関係はだいぶ冷え切っているようだ。邪ディアマンドと本編スタルーク、邪スタルークと本編ディアマンドとの戦闘前会話では、邪ディアマンドと邪スタルークどちらも(幻覚や別人かもしれないと疑うこともなく)実の兄弟が今こそ自分を殺しに来たのだと受け止め、応戦しようとする様子が描かれる。そのぐらいには、互いに兄弟のことをもはや信じていない。

だけど、それでも、3章終わりで邪スタルークが不意討ちでエルに切り伏せられたときに邪ディアマンドは「スタルーク…スタルークっ!!」と悲痛な叫びを上げるんだ。弟の仇とばかり剣を抜いてエルに切りかかり、返り討ちにされるんだよ。

ラストバトルで邪スタルークが息を引き取る前、最期の言葉は「…兄上、良い弟でなくて…ごめんなさい…」だったんだよ。

どんなに冷たい関係になっていたとしても、やっぱりたった一人の兄であり弟であり、愛してたんだと思うんだ。

そう考えると邪ブロディア兄弟、ほんとせつない。せめてあの世では、神竜様や仲間たちのそばで、兄弟仲良く過ごしてくれますようにと願ってやまないよ(邪イルシオン姉妹もな!)

 

追記
この記事書いたあと、邪スタルークくんのこと考え続けてさらに2記事ほど書いた。

marie.hatenadiary.jp

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