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邪竜の章リプレイ感想⑥

邪竜の章のリプレイ、6章の感想。引き続き本編および邪竜の章クリア済の人向け(ネタバレたくさんあり)。2周目クリアしたー!


6章の冒頭の詩を読み上げる声は、女リュールちゃんの声。ここでは「邪竜の章世界の神竜様」の声と言うべきだろう。

あなたは教えを守り導かれるまま、
無垢であることを望むだろうか。

仲間の血で手を穢しても、
勝利をおさめることを願うだろうか。

どれほどの痛みも今は懐かしく、
ただ憧憬の果てに見る夢だった。

さりとて私は知っている。

この世界に永遠はない。
あなたの眠りは、今こそ覚める。


昨日、ちょうど2周目クリアした後で、この冒頭の詩の前半部分について「それぞれの章で出てくる紋章士を指しているのでは?」という考察を読ませていただいて、「うわー、ほんとだ…!! めちゃめちゃ合致する!」となった。天才現る! リンク先のテキスト、ぜひ読んでみてください。

 

なるほど、紋章士…! 邪竜の章では腕輪の紋章士たちは現れたと思ったら眠らされちゃうからあまり意識しなかったけど、たしかにどの国にどの紋章士がいるのかにも意味を持たせていそう。本編の絆会話にもちょいちょい出してきてたぐらいだし。

6章ではリュールが三級長の腕輪の封印を解く場面が描かれる。つまり紋章士エーデルガルト、ディミトリ、クロードが登場する。言われてみれば最初の2文はまさに彼らを思い起こさせる内容だ。

重ねて「教えを守り導かれるまま」は、ソンブルの示した道を進んだラファールを思い起こさせるし、「仲間の血で手を穢しても、勝利をおさめることを願う」は、邪竜の章で描かれる戦い全般に通じそう。

「どれほどの痛みも今は懐かしく、ただ憧憬の果てに見る夢だった」
これは、この言葉の主(この世界の神竜)は今はもう痛みを感じることがない、目覚めることのない眠りについている、みたいなことを示してるのかと思ったけど、最後に出てくる「眠り」の主についてのような気もする。

「この世界に永遠はない。あなたの眠りは、今こそ覚める」
この章の戦闘中、大邪竜イルとリュールとの会話で、リュールが「あの人は、世界を救えと言わなかった。大切な人を救ってと言っていた」と振り返る。この言葉が声の主であるこの世界の神竜のものなら、この世界が滅びゆくこと、そしてラファールの呪縛が解かれることを言っているのだろうと思う。


さて、6章の舞台は堕ちたソラネル。この世界のソラネルはかつては本編世界と同様に浮遊島だったけど、今は墜落して海上にあるようだ。建物の配置なども慣れ親しんだ本編のソラネルとよく似ていて、だけどあちこち崩れ落ちていて痛ましい。

最終章の展開をひとつずつ丁寧に追っていくとただストーリーを説明するだけになりそうなので、先に整理しておく。

  1. 眠るエルの傍で、イルが幼い頃感じていた想いを独白。
  2. 目覚めたエルとイルの対話。イルが自分は本物のイルではないと告げた後「我を止めて欲しい」と口走る。
  3. リュールが到着、イルの要求に従い三級長の腕輪の封印を解く。
  4. イル、七つの腕輪の力を得て大邪竜の姿となる。
  5. セレスティア、グレゴリー、マデリーンが到着。神殿で起きた出来事とモーヴの死が伝えられる。
  6. 大邪竜イルと戦闘。異形兵となった各国の王族たちも敵として再び参戦。エルたちが勝利する。戦闘後、腕輪は四散。
  7. イルがエルの片割れと成り代わった経緯を語り、エルはイルが別人と入れ替わったことを知っていたと語る。
  8. 自らを殺すよう求めるイルに別れの言葉を告げた後、エルは自らの胸を刺し死を選ぶ。最期にイルに本当の名を問う。
  9. ラファールの名が明かされる。エルの竜石が砕け、ラファールにかけられていたと思しきソンブルの術が解ける。
  10. ラファールは自らの罪を引き受け、エルの目覚めを信じ力を与え続けると語る。エルが目覚め自らを許せばともにリュールの世界へ行くと約束する。
  11. リュールと四翼の3人はソラネルを後にし神竜王城へ戻る。リュールの誘いに応じ、四翼の3人はリュールとともに本編世界へ行くことを決める。
  12. エンディングテーマを挟み、本編世界のソラネル。目覚めたエルをともなったラファールがやってくる。

書き出してみるとクライマックスらしく展開に次ぐ展開だ。2周目見て改めて感じたのは、エルとイル(ラファール)を演じる声優さんのすごさだなあ。ひとつひとつの言葉が違和感なく伝わってくるというか、余計なことを考えさせないというか。ともかく圧倒的に引き込まれる。


「…我を止めて欲しい。お願いだ、姉さん」から続くラファールの一連の言葉はせつなく響いた。エルを本当の姉のように思う気持ち、神竜王城で皆と過ごした温かな日々を大切に感じていたこと、だけどそれらはどこまでも「イル」のもので、自分のものではない虚しさ――口走った直後にラファール自身が戸惑い、否定する様子が描かれるが、これはラファールの中にたしかにあった感情なのだろう。もう終わりにしたい、というところまで含めて。

一方、自分の片割れに成り代わったラファールを、イルとは別人だと気づきながらも受け入れ、やがてラファールのことも大切な片割れだと感じるようになったと語るエル。片割れであったイルを喪い、想い人であった神竜様を喪い、この上、ずっと大切に感じてきたもう一人の片割れまで喪うのは耐えがたい、喪うぐらいなら自死を選ぶ――これも紛れもなくエルの本心だろう。

だってリュールと最初に会ったとき、2人とも千年前の戦いを知ってるって言ってたもんなあ。始まりは互いに偽りだったとしても、長い長い間、双子として振舞い続けていて、関係性が変化しないわけがないよな、と思う。数千年を生きる竜族の時間感覚がどんなものなのかはわからないけれども。


四翼によって語られるモーヴの最期。モーヴかっこよすぎないか……。この鏡写しの世界で、なぜモーヴは本編世界のモーヴとほぼ変わらなそうに見える人格なのだろう? いや、言うほど本編モーヴのことも邪モーヴのことも知らないのでどこかに真逆の部分もあるのかもしれないけど。

そしてマデリーン。神殿での場面より前章や本章の戦闘会話の感想になるけど、とにかく高潔だ。立派な人格すぎて、なんだかぶん殴られたみたいな心持ちになる(まさに「あなたの心の光が僕のゴミのような心を照らし出してしまう!」の心境…)。なんと気高く誇り高い騎士たることか。

そんなマデリーンだからこそモーヴに惹かれたのかもしれないし、モーヴをずっと見てきたからこそそんな風に育ったのかもしれないね。本編のマロンも愛しいけど、マデリーンもとても愛しい。2人ともが「自分が正しいと思うことをする!」と言うのが印象深い(マロンは最後の最後に、だったけど…)。

クリア後のヴェイルとマデリーンの支援会話で、ヴェイルがモーヴから後に聞かされていたマロンの発言と同じことをマデリーンが言い、ヴェイルが涙する場面も印象に残ってる。マロンとマデリーン、性格や振る舞いは全然違うけど、核みたいな部分はおんなじ感じがする。だとすれば、ほかの四狗と四翼の人たちもそうなのかもしれないな、とか思う(けど、ここはまだ全然考えきれてない)。


ラストバトル。2周目なのでだいたい何が起こるか、どこらへんに気をつけておけばいいかわかってる分、進めやすく感じた。それにしてもやっぱり、異界の別人格とは言えど王族たちが苦しそうにしてたり狂ってたりするのを見ると、理屈じゃなくこっちまで苦しくなるんだよなんとかしてくれ。だけどまあ、とても悲しいけどみんなうれしそうに、ありがとうと言いながら死んでいくから、きっと彼ら彼女らもこれで救われたのだと思うことにしよう。今度こそ神竜様のそばで安らかに眠ってください…。

大邪竜イルとリュール、エル、セレスティア、グレゴリー、マデリーンとの会話は前回も全部見てたけど、今回もちゃんと一通り見た。やはりどの会話もとても響いた。

戦闘後の流れに対する感想は、初回プレイ時の感想とそんなに変わらないかな。今回もやっぱり最後、本編世界のソラネルの美しい青空に心底ほっとした。

 

そんな感じで邪竜の章2周目クリア。プレイ中、ずっとなんとも胸が重苦しくなる感じとか、コントローラー握る手が冷たくなる感じとか味わってた(この感じはまじで邪竜の章のこといろいろ考えるだけでもずーんと来るとこある…)。エンゲージの本編大好きだから、やっぱ邪竜の章はストレス感じるところ多い。それでも、本編と鏡合わせのこの世界でのお話はとても面白かったし、この世界から本編世界へ生き延びてきた人たちは皆愛しい。あとやっぱり、邪竜の章を見た後は本編世界の仲間たちがより愛しく、大切に感じる。こんなにも心揺さぶるコンテンツ作ってくれてありがとう、と思う。