ぼちぼち書きましょう。

気づけばFEエンゲージのことしか書いてない。

邪竜の章リプレイ感想⑤

邪竜の章のリプレイ、5章の感想。引き続き本編および邪竜の章クリア済の人向け(ネタバレたくさんあり)。

5章の冒頭のテキストを読み上げる声は、イル(ラファール)だ。

あなたは運命に抗い、絶望を掃い、
仲間と絆を結ぶだろうか。

信じた半身は最後まで、
あなたの背を守り続けるだろうか。

王たちは残らず消えた。
雪のように、砂のように。

残るは見知った別人か、
名も知らぬ愛しき者か。

さりとて、彼の者は知っている。

この世界に空虚はない。
お前の夢は、叶わない。

これは、全体的にエルへの問いかけと受け止めるとしっくりくるなと感じる。あるいは、エルを重ね合わせて自らへ問え、という感じかもしれないけれども。

「王たちは残らず消えた。雪のように、砂のように」は文字通り。前章で示されたブロディア王、フィレネ王に続いて、イルシオン王とソルム王もいなくなった。この世界のエレオス大陸の4つの国の王はすべていなくなった。

「見知った別人」「名も知らぬ愛しき者」いずれもイルに成り代わっていたラファールを指していそう。どう受け止めるか、という問いに思える。

そして、彼の者が知っていることは、
「この世界に空虚はない。お前の夢は、叶わない」
ここはわかんないな。「空虚」とは? 「お前の夢」とは?
これまでの流れだと、この言葉の主は声の主のような気がするので、ラファールだろうか。ラファールだとしたら、彼の呼びかける「お前」は誰だろう? 今まではこの位置にくるのは「私」「オレ」「ボク」と一人称だった。ならばこの「お前」は、自らへの呼びかけなのか。それともやっぱり、この言葉を聞いている自分、リュールを指しているのだろうか。


さて5章の戦闘の舞台は異界のソルム、砂塵の砦。ラファールに囚われたリュールを救うべく、四翼に逃がされる形で追ってきたエルと本編世界の仲間たちが出撃する戦いだ。

これ、本編世界から来た仲間たちどうやって召喚され状況把握してるんだろうね? この戦闘に限らないけどこの戦闘は特に不思議だ、リュールくんはこのとき身動きが取れなくなってるんだし。この世界では撃破されても死なないことを考えると、本編世界の人たちはこちら世界に実体としては存在してないのかな。そうだとすれば、この世界の人たちの目にリュールくんが自分たちの神竜様と瓜二つの存在に見えているのもなんとなく納得いく気がする。

ともあれ私が神竜リュールで、私が采配するのだ(囚われてるけど)。5章の初回プレイ時には、邪フォガートと本編フォガート、邪オルテンシアと本編オルテンシアの戦闘会話だけ確認してた。そのときノーマルならわりと強引に進んでもなんとかなるなという手ごたえを得てたのと、前回2ルートに分かれて慎重に進めてたら合流前に邪フォガートが進軍してきて厄介だったので、今回はがんがん進めてちょうど合流するあたりで迎え撃った。

ここはリュールも四翼も参戦できない分、本編世界の仲間たちの出撃枠が多いので、2周目で結構たくさんの会話を回収できた。邪フォガートとパンドロ、ボネ、ミスティラ、邪オルテンシアとロサード、ゴルドマリー、アイビー。ほぼ全部見られたんじゃないかと思うんだけど、まだ何かあるかな?

この世界の王族たち、みんなつらそうで見ていて悲しくなるんだけど、4章で王族たちみんな異形兵にされてると明らかにされた後に登場する邪フォガートと邪オルテンシアと対するのは、初回プレイ時、特にしんどく感じたのをおぼえている。

邪フォガートとの戦闘会話は、いろんな相手との会話を見るほどにホラーだ。邪フォガートくん、明るく「大好き!」「遊ぼう!」とか言うのは本編フォガートくんとそっくりで、ただし「大好き、だから俺が殺したい! 殺す!」ってなってる、笑顔で。さすがに本来の邪フォガートがこんなサイコキラーだったとは思えないので(好戦的な性格ではあったのかもしれないけど)、この「殺す!」は異形兵にされたときに植え付けられたものだと思うんだけど…。

邪フォガートくんは神竜王城の刺客だったし、自分がラファールの手駒にされてることをたぶんある程度は認識してる。ほかの異形兵化した王族たちとは異なり、目の前に敵として現れる見知った顔が別の世界から来た別人だと理解してるし、自分がもう何度も死んでることも知ってる。「君も神竜王城にいた人かな? ごめんね、もう色々覚えてなくってさー」とか言ってるので、異形兵になってからの記憶や思考は断片的になってそう。なんかもう、ほかの王族たちにも増していろいろつらい。なんてことを。

本編フォガートとの会話では「君を殺して俺がそっちに成り代わってもいい?」なんて笑顔で言って本編フォガートくんをぎょっとさせてる。たぶん、そんな言葉が出てくるぐらいには、きっと本編フォガートと同じように賢いのだろうし、この状況から抜け出すことを望んでいるのだと思う。

この世界のほかの王族たちと本編世界の臣下たちとの戦闘会話は、(もちろん臣下たちも悲しそうではあるけど)王族たちのほうがダメージ受けてそうなのに、邪フォガートとの会話は、明らかに本編世界の人たちのほうが大ダメージ食らってる。もうみんな、邪フォガートを前に、黙るしかなくなっちゃう。本編世界からきた臣下たち、ミスティラやフォガート本人さえも。ほんとにな、こんなとこに呼び出しちゃってごめんな。


邪オルテンシアは、邪フォガートとは別のベクトルでめちゃめちゃ可哀そう。異形兵にされてるとか関係なく、この世界のオルテンシアがそもそも可哀そうなことになってた。本編アイビーとの戦闘会話で邪アイビーのヤバさが伝わる。てか、邪オルテンシアも「もう死にたくない…」って言ってるんだよな。この子も自分が死んだこと知ってるっぽい。

邪オルテンシア隊はみんな目立たなくして生き残ろうとしていたとか、つらい話だ。ゴルドマリーはこの状況でもわりと平常運転で、本編アルフレッドや本編スタルークの戦闘会話と同じにおいを感じたけど、そんなゴルドマリーの顔をも曇らせる邪オルテンシアの不幸っぷりだよ。ロサードはやっぱりオルテンシアに優しくて素敵だったな。

ちなみに初回プレイ時のリュールは回避+30つけてて攻撃当たる気がしなかったんだけど、2周目リュールは回避+15だったので「当たるのかな?」とちょっと思ったけど、ノーマルはやっぱり命中率低いのかな、今回も一発も攻撃もらわなかった。

 

戦闘終了後、四翼が神殿を崩す作戦を決行する場面が描かれ、リュールとエルに追いついたラファールがエルを人質にリュールをかつての浮遊島へ呼び出し、ソンブルの独白(回想?)シーンが挟まれ5章終了。

ソンブルが自らの死後に望みを果たすために双子を動かすべく仕組んだらしきこと、双子は実は双子ではなさそうなことがこの独白で明かされる。「一族の受けた雪辱を晴らすために七つの腕輪を集めた強大な力でこの世界を蹂躙する」というのが、この世界のソンブルの望みだったはず。「一族の雪辱を晴らす」とか言う時点で孤独を選んだ本編世界のソンブルとは逆だし、だからこそ子を使ってでも成し遂げたかったということなのだろうか。それなのに子を駒と見ているのは本編ソンブルと一緒なんだな。

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邪竜の章リプレイ感想④

邪竜の章のリプレイ、4章の感想。引き続き本編および邪竜の章クリア済の人向け(ネタバレたくさんあり)。


4章の冒頭の詩のようなものを読み上げる声は、4章で登場するマデリーン(もしくは本編世界のマロン)と、(邪竜の章世界もしくは本編世界の)モーヴだ。

キミはただ一人のために動き、謀り、策略し、
その者の幸せを願い戦うだろうか。

あなたは愛する者を慈しみ、抱擁し、信じ、
自分だけのものにすることを望むだろうか。

岩に覆われた国の王は砕けた。
花に囲まれた国の王は散った。

さりとて、彼の者は知っている。

この世界に憐憫はない。
ボクの渇望は、ここにはない。

「キミ」「ボク」という人称を使うのは、マデリーンではなくマロンだ。2章、3章も四翼のセレスティア、グレゴリーではなく、四狗のセピア、グリっぽかった。だとすればモーヴも本編世界のモーヴなのだろうか。この一連の「彼の者は知っている」の意味、私はどうにもピンと来ないままだ。

わかりやすそうなところから見ていくと、
「岩に覆われた国の王は砕けた。花に囲まれた国の王は散った」
これは文字通り、ブロディア王とフィレネ王は死んだ、だろう。この時点では前章終わりの場面を思い起こさせるけど、実際にはそれより以前に既に死んでいたことが本章で明かされるので、どちらの意味も含めて。

「ただ一人のため」「愛する者」から思い起こされるのは、まずは本章で語られるエルの神竜様への想い。それだけではなく、マデリーンのモーヴへの想いや、モーヴのヴェイルへの想いなども。ただ「動き、謀り、策略し」や、「自分だけのものにすることを望む」は、彼らと重ねるには違和感がある。これは具体的に誰かを指しているというよりは、あくまでも彼らの想いに重ねつつ「自分の中にそうした気持ちはあるか?」という問いかけだろう。

「愛と身勝手さ」のようなことを示唆している気がする。


4章の戦闘。初回プレイ時はここの戦闘会話、まったく確認できてなかったので2周目の今回はなるべく回収したいなと思ったけど、出撃枠わりと少ないんだよな。今回は邪アイビーと本編アイビー、カゲツ。邪ミスティラと本編ミスティラ、メリンのをそれぞれ確認した。よく考えたらリュールのをどちらも見てないな? 初回にそのぐらいは見とけよ自分、と思った……。

邪アイビーおもしろいな。どうしてそうなった…って感じだけど、まあそうなるか。本編のアイビーは、母親を筆頭とする周囲の大人たちの醜い争いに反発してひそかに神竜を信仰するようになったんだった。それなら鏡写しのこの世界のアイビーは、母親に同調するような人物のはずだし、邪竜信仰であるはず。本編アイビーが妹を慈しみ、邪アイビーが妹を虐げるのはそのあたりと地続きだろう。

加えて、邪ブロディア兄弟の性質が本編と反転してたのと同じように、本編ではオルテンシアが持ってた「自分の美しさ(オルテンシアは可愛さだったけど)にこだわりや自信がある」「思ったことをなんでも口に出す」みたいな性質は、邪竜の章世界ではアイビーが持ってるようだ。

そう考えると、カゲツとの戦闘会話で邪アイビーがカゲツに「貴方は私が嫌いだったもの」とか言い出すのも、本編のオルテンシアが支援会話で「あたしになびかない」とか言ってたのと同じような感じなんだろうなと思った。しかし、邪アイビーに微笑むことすらなかった邪カゲツどんなだったんだ。めっちゃ見てみたい。

本編アイビーとの会話は、邪アイビーは本編アイビーの外見に自分の美しさを映し見て喜び、本編アイビーは邪アイビーの内面に忌むべきものを見て嫌悪する、みたいな対比がおもしろかった。ハイアシンス王はこっちの世界でも邪竜の贄にされたんだな…。


邪ミスティラのほうは、自由奔放な本編ミスティラに対して、生真面目で融通がきかない人物ということらしい。そういえば邪竜の章クリア後にソルム城で訓練をすると、散策会話でエルが邪竜の章世界のソルム城について「古びた、飾り気のない重厚な城だった」と語るのを聞ける。邪竜の章ではソルムがどんな国なのかあまり語られないけど、おそらく本編の「自由を愛する国」とは真逆の、規律や伝統を重んじるような国なのかなと思う。

邪ミスティラとメリンの戦闘会話、メリン素敵だなーと思ってたら、最後に邪ミスティラが大真面目に「あなたは大の動物嫌いだったではないですか」とか言うから「ちょっと、そこで笑わせに来ないで!」ってなった。臣下の性質も本編とは鏡写しだった、みたいなのが戦闘会話に出てくるのは先のカゲツとか次章のボネとかもあるけど、みんなどんな人物なのかいろいろ想像しちゃう。おもしろい。

邪アイビーとゼルコバ、オルテンシア、邪ミスティラとパネトネ、フォガートとの会話まだ見られてないので改めて確認したいな。


戦闘後、竜化したエルが邪アイビーと邪ミスティラを喰い殺す場面が描かれ、その行動の理由として王族たちや王城兵たちはすべて既に死んで異形兵となっていたことが明かされる。初見のときは衝撃すぎてあまり考えられなかったんだけど、エルの言葉の意味をすぐに理解して受け止めるリュールも四翼たちもすごいな。「俺たち以外に、生きてる人間って…もういないのか…?」まですぐにたどり着くんだな(グレゴリーのこのセリフで補完してるともとれるけど)。私はしばらく理解が追いつかなかったよ。

4章の冒頭、エルの夢として描かれる回想シーンの中でこの世界の神竜様が発した「優しいですね」。同じ言葉をリュールが言ったのをきっかけに、エルが神竜様への想いを語りだす。この場面は初見時も印象的だったけど、改めて見てもやっぱり圧倒的に引き込まれるし、胸に響く。せつない。これまでのエルの態度が自然と納得できるし、エルに対する心の距離がここでぐっと近くなる感じ。場を立ち去る流れも自然だ。

一方、四翼にはエルを追うよう促し、自分はリュールとともにその場に留まったイル。3章のリプレイ感想で書きそびれたけど、2周目プレイでイルの正体を知っていても3章あたりまでくると「これはすべて演技してるラファールだ」みたいな受け止め方は難しくなる。ラファールの中に「エルの双子の片割れのイル」という人格も確かに存在してるんだろうなと感じるようになってきてた。そこからの、いよいよ本性を現す場面。

ここも初見のときと2周目そこまで印象変わらなくて、やっぱ「こわいこわい!」って感じなんだけど、その怖さの盛り上げ方が「ああ、そういえば二人になった途端に饒舌に語りだしてたんだな…」と感じた。初見では、ほかに人がいないから親しみをこめてぶっちゃけトークを始めたような印象だったけど、改めて見ると訪れた好機にテンションぶち上がってるように感じる。

4章終わりはワールドマップへ移動することなく(だってリュールくんはこのとき自ら行先を決められる状況じゃなくなってるんだもんな)5章へと続くんだけど、長くなったので5章のリプレイ感想は別記事にしようと思う。

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邪竜の章リプレイ感想③

邪竜の章のリプレイ、3章の感想。引き続き本編および邪竜の章クリア済の人向け(ネタバレたくさんあり)。

私はスタルーク推し、ブロディア兄弟推しのブロディアの民なので、邪竜3章だけは回想戦やって戦闘会話も2周目やる前にたぶん全回収済みだった。なので2周目だけの感想ではなくなるけど、3章に関してまだ書いてなかったことなど書いてみようと思う。

3章の冒頭で詩のようなものを読み上げる声は、この章で登場するグレゴリー、あるいは本編世界のグリだ。

お前は孤独の絶闇の中、
光を我が物にと望むだろうか。

閉ざされし扉の向こう側、
誰かの呼び声に応えるだろうか。

告げる知らせは悲しい面影。
暗い鉱石の夜の色。

さりとて、彼の者は知っている。

この世界に慈悲はない。
オレの痛みは、ここには無い。

今まで以上にわからんな?

「お前」は、ここまでの流れからリュールだとすると、リュールのことを「お前」と呼ぶのはグレゴリーではなくてグリなんだよなあ。この問いかけの主はグリなのか?

「閉ざされし扉」は、戦嫌いで入国も難しいというこの世界のブロディアのことだろうか。だとすれば、扉の向こう側で呼び声を上げるのはブロディア国内にいる人、ブロディア王族…だろうか?

「暗い鉱石は夜の色」は、やはりこの世界のブロディアだろう。3章を通して、舞台は夜のブロディアだ。戦を望むフィレネの空は血の赤、戦を嫌い防衛のため扉を閉ざすブロディアは孤独の闇夜、といったところか。孤独、闇。たぶんこのあたりがブロディア編のキーワードなのだろう。

 

初回プレイ後、Twitterにこんな感想を投稿した。

そう。「気配を感じさせず忍び寄る」みたいなとこでスタルークっぽさ伝えてくるのおもしろいなと感じた。改めて見返すと、セレスティアはこの少し前グレゴリーが登場するとき、場にいた人達の中でいち早く何者かの気配に気づいて周囲に注意を促してるんだよね。おそらく気配に敏感なのであろうセレスティアにさえ気取られなかった、って前振りまでされてたんだな。

そんな感じで、邪ブロディア兄弟が仲良く(?)登場。前章の邪フィレネ兄妹と同様、兄の方はパッと見では本編とそこまで印象が変わらないのだけど、弟はのっけから本編とは明らかに人格違う感出してくる。

邪スタルークくんについては、以前に発狂して3記事も書いた(と言っても半分ぐらいは本編スタルークのことを書いてるけど)。私、邪スタルークかなり好きなんだと思う。いや、もちろん本編スタルークありきで鏡写しの存在だからこそ好き、なのだけど。邪スタルークとの戦闘前会話でザフィーアが「こっちのスタルーク様は随分高飛車ですね。見慣れませんが、悪くありません」って言うの、とても共感する。そう、こんなスタルークも悪くないな、という感じ。

戦闘会話について。臣下たちとの会話はやっぱり悲しいんだけど、邪スタルークの方はなんだかんだラピスからもシトリニカからも優しい言葉をかけてもらって、ある意味励まされてる。スタルークらしくてちょっとおもしろい。本気でしんどいのは邪ディアマンドの方で、アンバー、ジェーデ、シトリニカ、もうどの会話もただ哀しくて本当に鬱だ。邪ディアマンド悲しくて笑ってるなんてつらすぎる。弱り果てすぎてて泣きたくなった。

戦闘後、セレスティアとグレゴリー、イル、そしてエルがそれぞれ自らの「逃げ延びた過去」について語る場面があり、エルの幼少時の回想シーンを挟んで、衝撃の3章終わり、邪スタルークと邪ディアマンドがエルに殺される場面だ。

2-3章の初回プレイ感想にも動揺した気持ちを書いたけど、この場面、初めて見たとき自分でもちょっと驚くほどショックを受けた。改めて確認してみると、ダメージが大きくなるよう仕組まれてるのを感じる。おそらく意図的にやってると思うので、少し整理してみる。(後のほうに邪スタルークくん殺されるときの表情の画像とか載せちゃったので、もう見たくない方はこの先ご注意ください…!)

本編のブロディア兄弟が並んで立つとき、基本的にはいつもディアマンドの右隣にスタルークが立つ。つまり向かって左にスタルーク、右にディアマンドが立ってる。ほかの人も並ぶ場合とか、場面によってはたまに入れ替わるときもあるけど、基本的にはこの並び。身分的なルールがあるのかも。

一方、邪竜の章では、邪スタルークは邪ディアマンドの左隣に立っている。つまり向かって左に邪ディアマンド、右に邪スタルーク。登場のシーンも、撤退する場面もこの並び。鏡写しの世界だから、逆並びになるのは納得だ。

次に、本編スタルークと邪スタルークのアングルの違い。

戦闘会話の時表示される邪スタルークくんは基本的にややアオリ気味のアングルで描かれ、本編スタルークくんは目線の高さもしくはやや俯瞰気味のアングルで対照的に描かれてる。邪ブロディア兄弟の登場シーンなどもアオリ気味のカメラアングルだ。

よって邪スタルークの目線は見下す形、本編スタルークの目線は気持ち見上げる形になってる。

そのあたりを踏まえて、邪竜3章終わりの邪ブロディア兄弟がエルに殺される場面を見ると…

この場面だけは邪兄弟の立ち位置が左右入れ替わって、本編の兄弟と同じ並びになってるのがわかる。カメラアングルは気持ち俯瞰気味だ。

 

そして邪スタルークくんがエルに斬りつけられ、倒れる直前のこの表情。

声こそ邪スタルークくんの低めトーンの声ではあるものの、どアップで見せられるこの表情はよく知ってるやつ! 驚いて目を見開くのも、目をすがめて顔を歪ませるのもよく見覚えある。どう見てもこれ、本編スタルークが見せる顔じゃん!

まさにこの顔だよ。邪スタルークくんもこれに近い表情は見せるんだけど、この角度では見せない。

 

いやこれ、絶対わざとでしょ。

この場面でエルに殺されるのは、間違いなく邪竜の章世界のスタルークとディアマンドなんだけど、無意識にまるで本編のふたりが殺される場面かのようになんとなく感じさせるよう仕組まれてるのを感じる。

それにまんまと引っかかって「え、スタルーク殺された…兄上も…」って、描かれた場面の事実以上に動揺して、不安な気分になったんだろうなと思ってる。「なんでそんなことするんですか?」案件だよ…!

なんかこのへん、理解しておかないとずっとダメージ引きずりそうだから向き合ってみたけど、やっぱり胃のあたりがキュッとなるな。邪ブロディア兄弟、成仏してください…(6章でまた出てくるんだけどな…)。

 

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邪竜の章リプレイ感想②

邪竜の章のリプレイ、2章の感想。前回に引き続き本編および邪竜の章クリア済の人向け(ネタバレたくさんあり)。

2-3章初回プレイ時の感想は、3章終わりの場面にメンタルやられ過ぎててろくに書いてなかったw 一応、

①グレゴリーの言う「見た目は神竜様と瓜二つだが、本質はまるで違うよう」について、この世界の神竜様は、見た目リュールとそっくりで、だけどリュールとはどこか真逆な部分を持つ存在だった?
②エルの言う「戦う理由はあるのですよ」について、アルフレッドの様子がおかしいってなんだか意味深な感じだったのと関係あったりする?

あたりを気になった点として挙げてた。

①については、特になかった。クリア後に発生するリュールとグレゴリーとの支援会話で、グレゴリーがあの言葉は誤りだった、自分たちの神竜様と同じだった、みたいなニュアンスのことを言ってたと思う(改めて確認してないので細かい表現は違うかも)

②については、そうだよな。関係あったよね。これは後で書く。

 

2章の冒頭では、謎めいた詩のようなものを読み上げる声は2章で登場するセレスティア(あるいは本編世界のセピア)となっている。

貴方は異邦の者として尚、
勇ましく戦場を駆けるだろうか。

花と血と鋼に満ちたその場所で、
正しく死にゆくは誰なのか。

四つの王位を火に焼べて。
七つの炎は揺り篭に。

さりとて、彼の者は知っている。

この世界に未来はない。
私の寂しさは、ここには無い。

これ、やっぱり難解だなあ。誰の言葉なのか、どういう意味なのか。断片的にしか捉えられない。「貴方」は「異邦の者」だからおそらくリュール(プレイヤー)への問いかけなのかなと思うのだけど「彼の者」というなら、問いかけてくるのは別の誰かなのか。

「花と血と鋼に満ちたその場所」は、たぶんこの世界のフィレネのこと。「正しく死にゆく」は、まあ、死んだのに死んでないような状態になってるのは正しく死んだとは言えない、正しく死ねてない人がいるのを示唆してる感じか。

「七つの炎は揺り篭に」は、七つの腕輪の紋章士を眠らせること? その炎を燃やすために焼かれるのが「四つの王位」。腕輪の力を得るために4人の王が犠牲になる、みたいなところだろうか。

ここで「彼の者」の語る「私の寂しさ」、寂しさを抱えているのはセピアだよなと思う(後の章の冒頭で出てくる「オレの痛み」「ボクの渇望」も、それぞれグリとマロンっぽいワードだ)。うん、ここはやっぱりよくわかんないな…。


さて2章は異世界のフィレネ。本編世界の平和を愛する国は、鏡写しの世界では好戦的な国だ。花に囲まれた国であるのは同じ。邪アルフレッドの印象は本編アルフレッドとさほど大きく変わらないのに対して、とにかく邪セリーヌが別人のようで怖い。本編のセリーヌが見せない表情を見せ、本編のセリーヌとは真逆に「自分の幸せ」を最優先する言動を見せる。ここらへんは初見のときとほぼ印象変わらず。

イルは、ソンブルの子であることをなじられ抗弁したり、「邪竜の子って肩身が狭いかも」と言ったりと、純真な印象を着々と積み上げる。

腕輪をめぐって戦闘開始。ハードでやってみたら結構たいへんで、「これ、見てない戦闘会話の回収とか言ってる余裕ないな…」と思ったので、2章にしてさっくりと難易度をノーマルに変更。戦闘会話は前回見てないところで、邪アルフレッドと本編アルフレッド、ブシュロン、セリーヌ。邪セリーヌとリュール、クロエのをそれぞれ確認した。

本編アルフレッドは初回プレイ時も出撃させたんだけど、下側のルートを進ませたので本人対決は見てなかった。笑っちゃうやつだった。本編アルフレッドくんこの状況で平常運転なのさすがだ。邪セリーヌとリュールとの会話は、この世界のセリーヌさんはもともとかなり好戦的な性格だったということなんだなと思った。ラストバトルの戦闘前会話も「ただ目の前の相手を蹂躙していいのよ!」とかうれしげに言ってたしな…。

臣下たちとの会話はやっぱり悲しい。臣下たちも悲しい顔になってつらい。エーティエとルイのをまだ見られてないので気力が湧いたら追々確認したい。


戦闘が終わると、邪アルフレッドも邪セリーヌも、人が変わったように穏やかな印象に変化する。表情も言動も、本編のアルフレッド、セリーヌとほとんど変わらない印象。初見のときはまるで憑き物が落ちたみたいな変化だなと感じたけど、態度をやわらげた理由として、邪アルフレッドくんが「先程、イルから話を聞いた」って言うんだよね。

邪アルフレッドも邪セリーヌも、このとき実はもう異形兵にされてたわけで、それをやったのはイルならぬラファールだ。戦闘後の急激な態度変容は、ラファールがなんらかの働きかけで2人を操ったから、ということだったのかなと思った。

そして、同行を申し出た邪アルフレッドと邪セリーヌに対して、エル、イル両名ともに反対の意を示す。これも後から思えば、このときエルもイル(ラファール)も王族たちが異形兵であることを知ってるわけで、リュールや王族2人にはもっともらしい理由を語っていたけれど、その裏でそれぞれに思惑があったんだなとわかる。

別れ際、邪アルフレッドがリュールと彼らの神竜を混乱したような発言をして、直後と別れた後にリュールが重ねて「おかしい」と指摘する。わかりやすく注目を促されたので、さすがに初見のときから「なんか伏線なんだろうな」という感じだったけど、思った以上にひどい話だったというか、いや、まさかそんなね…みたいなのが本当にそうだったというか。

邪アルフレッドがああいう発言をしたということは、異形兵となった彼らは、記憶や思考の連続性が損なわれつつあるというか、曖昧になってきているのだろう。ラストバトルの邪スタルークは「あなたが誰だか、もう…」とか言ってたしな……。本人たちは自分が異形兵とは知らず自分の意思で行動しているつもりで、実はそこに彼ら自身の意思はもうほとんどなかったのかもしれないよな。

 

はあ、またしんどくなってきた…。2周目3章まで終えたけど、長くなってきたので3章は別記事にしようと思う。

 

追記:3章の感想も書いた↓

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邪竜の章リプレイ感想①

本編2周目をクリアしたので、そちらのデータで邪竜の章2周目を始めた。

1周目でストーリーの展開や結末、その後、本編世界での支援会話で知ったことなども踏まえつつ、リプレイの感想など書き留めておきたい。邪竜の章クリア済の人向け(ネタバレたくさんあり)。

1周目は1~2章ずつプレイしながら感想に加えて疑問を感じたところなども書いてたけど言いっぱなしだったので、そこらへんもなるべく片づけていきたい。まだまだ考えの整理中だけど…。

1章初回プレイの感想で、気になった点として挙げてたのはここらへん。

①「この世界に救いはない。この世界に、あなたはいない」って言ってる「私」は誰?
②リュールくんを異世界へと導くリュールちゃんっぽい後ろ姿の青髪さんはこちら世界の神竜?それとも別の存在?(瓜二つって言ってるから違う?)
③二度と目覚めぬ「わたし“たち”」?
④邪竜の御子は必ず双子で生を受ける運命なら、リュールにも対となる存在がいた?


一度クリアした今、このへんについてはおおむね解決してる…かな?(そうでもない)

①まず、冒頭の詩のようなもの。

それは千年の別離。
原始の反転、百年の後悔。

我が悲哀を夢見給え。
世の暗黒を薙ぎ払い給え。

追憶の時はただ過ぎ、
遺されし希望は流転する。

さりとて私は知っている。

この世界に救いはない。
この世界に、あなたはいない。

これを読み上げているのは、改めて聴けばエルの声だとわかる。それならこの「私」はエルなのだろう。そう思ったとき「えっ?」となったけど、邪竜の章のキャッチフレーズにもなってた「この世界に救いはない。この世界に、あなたはいない」の「あなた」。疑いもなく自分(プレイヤー)の分身である本編の神竜リュールのことだろうと思ってたけど、これがエルの言葉だとすれば、この「あなた」はそっちじゃなくない? 死んだこの世界の神竜のことじゃない? だとしたら、なんという騙しキャッチフレーズ!

ただ、エルはリュールに「この世界のあなた」という言い方をしていたので、異界の同じ存在、別の世界の「あなた」に向けて語りかけていると考えれば、やっぱり自分(リュール)でもあるのかも。だけどこれ、本当にエルの言葉なのかもちょっとわからない。この世界の神竜の言葉のようにも思える。各章の冒頭の詩みたいなのについては、正直まだあんまり腹に落ちる解釈ができてない。

②リュールくんを異界へと導いた青髪のリュールちゃんっぽい姿は、その後エルの夢に神竜様として出てくるし、亡くなったこの世界の神竜であると考えてよさそう。

「瓜二つ」については釈然としないとこある。青髪さんはプレイヤーからは後ろ姿しか見えないけど、リュールくんは正面から見ている。特に自分と瓜二つの相手に向き合っているような反応は見せない(そもそも性別も違うし)。ただ、自分とつながりの深い存在だということは感じ取っているようだけど。

でも異界では会う人会う人、リュールくんの姿を見るとすぐに神竜様だと認識する。彼らにはこの世界の神竜様とリュールくんがそっくり同じ見た目、瓜二つに見えているらしい。どういう理屈なのかはわからないけど、そう見えているのだろうと理解してる。

③二度と目覚めぬ「わたし」ではなく「わたしたち」。なんで「わたしたち」なんだろうと引っかかっていた。初見では「片割れ」的な存在が関係あるのかな? なんてなんとなく考えてたけど、クリア後に改めて見ると想像以上に多くを指していたんだなと思う。おそらくこの世界の神竜(わたし)と、神竜の加護を失い滅びゆくこの世界に生き、命を落としたすべての人たちだ。かつて神竜のもとに集い、仲間として共に戦った各国の王族たちや兵たち、そして各国の民たち。たぶん全部含めた「わたしたち」。大きい。

④「邪竜の御子は必ず双子で生を受ける運命なら、リュールにも対となる存在がいた?」

これについては、ちょっと考えてみた。
そもそもこの世界の神竜リュールは「ルミエル様の実子」であったと説明される。髪も青一色だ。本編世界のリュールくんが邪竜の御子として生まれたのと鏡写しの存在として、おそらくこの世界の神竜リュールは、まさに神竜の子として生まれており、邪竜の子としては生まれていないのだろう。つまり、この世界の神竜には、邪竜の御子としての双子の片割れは存在しない。

「邪竜の御子は双子として生まれる」というのは邪竜の章の世界の法則で、おそらく鏡写しの本編世界では違うのかな、そんな話出てこなかったしな…と考えたけどそこは不明。

ただ、鏡写しとなっている2つの世界において、リュールくんと対になる存在は間違いなくこの世界の神竜リュールということなんだろうと思う。


さて、改めて1章をやってみて感じたこと。

エルの神竜様への想いやイルの正体を知った上で見ると、細かい表情だったりセリフだったりが初見の印象とは異なって見えて味わい深い。初見ではただ「なんか怒ってる?怖いんだけど…」みたいな印象だったエルの表情にはときおり戸惑いや葛藤のようなものが混ざるのがわかる。イルはラファールとは声も話し方もまったく変えてて別人感がすごい。序盤のエルがリュールに冷たい態度をとるのをフォローする言動で親し気に寄り添っていい奴っぽく見せてくる。

「羨ましいなあ。もし僕が力を持っていたら悪いことになんか使わないのに」とか言ってやがったぞ…。このときは芝居を打ってるんだろうけど、でもたぶん、ラファールの中にいつか存在したことのある想いだからこそ引き出せた言葉なのかもしれないね、なんて思ったりもした。

竜王城に現れた刺客は、初見時は「これ、声も見た目もフォガートっぽいよな…」と思いつつ確信持てないままだったんだけど、正体を知って改めて見ると「もうどう見てもフォガートでしかないじゃん!」とか思う。そんなもんだなあ。

刺客として現れた邪フォガートくんはこの時点ですでに自分の意思みたいなものほとんど失ってそうで、本編のフォガートが本来とても賢く思慮深い人だと知ってるからこそ、おそらくそういう根本的な部分はこの世界のフォガートも同じだっただろうと思うし、「なんてことするんだよ…」って気持ちでいっぱいになる。そうだった、邪竜の章ってずっとこの「なんてことを…」みたいな気持ちを味わい続けるやつだったよな…。

 

本編2周目はハードやっていたので、邪竜の章もハードで開始になったんだけど、ノーマルに比べるとやっぱりちょっと敵が強くなってたり多くなってたりする分、戦略が必要になる感じ。加えて、2周目のデータはスタメン以外ほとんどスキルとか取れてないし紋章士との絆レベルもたいして上がってないので、1周目で見てない戦闘会話の回収とかもするつもりならハードだと厳しいかもなと感じてる。とりあえず次もハードでやってみてダメそうなら考えようと思う。

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救いなき世界で王となる

前回エントリの続き。

邪スタルークくんが必殺を出すときに言うセリフが「僕が殺します!」なのは、もはや彼には守るべき人が誰もいないから「守るために戦う」ではなく「殺すために戦う」だけになってしまったのだろう、みたいなことを前回は書いた。

だけど、守るべきものが何もなくなった世界で、どうして邪スタルークは、兄を殺してまで王になりたいのか今ひとつ理解できないと思った。王になって何をしようというのか。

そこらへん含め、もう少し考えてみる。


本編と鏡写しの邪竜の章の世界。本編でスタルークが持っていた「気が弱く後ろ向きで決断力がない」みたいな性質は、邪竜の章世界ではディアマンドの持つ性質となっているらしい。兄弟の特性も反転ということなんだろう。

どんなタイミングでこの世界の兄弟の性質が反転したのか、あるいは最初からなのかわからないけれど、おそらくかつては本編のブロディア兄弟と同じように、互いに認め合っていたと思う。本編のディアマンドが弟を心配したり助言したりすることはあっても、決して見下したり軽んじたりしないように。

だけど神竜様を喪った後の世界では、邪スタルークくんは兄を見下し、王として認めず、自分が王になろうと考えているらしい。…一体、なんのために?

…よくわからないんだよな。たしかに兄弟仲がギスギスしてるらしき会話はするものの、なんだかんだ行動を共にしてるわけで。兄を暗殺しようと思ってる弟と、それに感づいてる兄が共闘なんてできる?

戦いに敗れ腕輪を奪われることとなり、兄が撤退を決めると、弟は一度は異を唱えたものの、策を示せと言われるやあっさりと引き下がる。自分が王になるつもりなのに?


まあ、ここらへん全部、異形兵にされた時点で誇りを失い騎士道を忘れ、以前とはまったく別の人格になり、もうまともな思考ができていないから、ということなのかもしれないけど…。

最後の戦闘前には、
「僕が死んでいる…? 聡明な、次期国王の僕が? そんな、ありえない。でも、あなたが誰だか、もう…」
とか言ってて、このときにはもう本当にまともじゃなくなってることは明らかだし。

その戦闘後、邪スタルークは死ぬ間際に、
「…兄上、良い弟でなくて…ごめんなさい…」
と言い残す。
最期に謝るぐらいには、本当は兄上にとって良い弟でいたかったのではないだろうか。どこかの時点で、あえて「良い弟」でなくなることを選んだ理由があるのでは?


3章の戦闘で、本編世界から来たシトリニカに、邪スタルークが語る言葉。

「シトリニカ…? ああ、守れなかった君の姿を見るのは辛いです。家族同然であった大公家の皆も亡くなって…その度に、僕は…」

「命ばかりは、お金を積んでも何ともなりません。こんなに何度も苦しむのなら…僕があの時死ねばよかった。皆に、シトリニカに、生きていて欲しかった…!」

 

かつては身を挺してでも大切な人たちを「僕が守ります!」と思っていた。
だけどそんな思いとは裏腹に、守りたかった人たちはみんな死んでしまった。

何度も何度も大切な人を喪う苦しみを味わい、そのたびに守れなかった自分の無力さをかみしめた。

そうして生き延びた先の世界は、国同士が互いに牽制しあう一触即発の冷たい世界だ。かつて共に戦った仲間たちの心はバラバラになり果て、憎しみ合う。皆の気持ちを一つにまとめ導いてくれる神竜様はこの世界にはもういない。未来に希望を見つけることができない。

こうなってしまった今にして思えば、「大切な人たちを守って自分が死ぬ」よりも、「大切な人たちが死んで、守られた自分が生き延びる」方が、よほどつらいことだった。

守るべき大切な人たちがいなくなった世界、未来に希望をまったく見いだせない世界で、誇りを失い空しく生き続けなければならないのは、死ぬよりずっと悲惨だ――僕も、こんな世に王という立場を背負い、迷い苦しみ続けている兄上も。あるいはかつて仲間として共に戦い、交流した他国の王族たちも。

 

ならば、救いのないこの世界で最後まで生き残る一番つらい役目は、やはり僕が引き受けましょう。

「僕が兄上を、生き残ってしまった皆を、殺して差し上げます」

 

……半ばおかしくなってしまった頭で、邪スタルークくんはそんな風に考えたのではないだろうか。

「僕が殺します!」は「僕が守ります!」とまったく同じ発想の裏返し。自分以外の人を救えるのなら、自分が犠牲となるのも厭わない――死が救いとなる世界なら、僕が生き残ってみんなを殺そう――かつてたしかにスタルークだった何かならば、そんな狂い方がしっくりくるような気がする。

自分が王となることに意味を求めたのではなく、意味があると信じた先にあるのが「自ら生き残って王となる未来」だったのではないだろうか。

 

そんなことを、考えてみたりした。

死が救いをもたらすと信じているなら、死の間際、自分を討ち取った相手に「ありがとう…」と告げる意味もわかる。だけど、どんな理由にせよ兄を謀殺しようとするなど「良い弟」の行いではないことも理解していたんだろう。

 

単なる思いつきの妄想だし、説明がつかないこともたくさんある。でも、なんていうかそんな感じなら、いろいろと納得いくなあ…なんて思ったんだ。

 

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「僕が守ります!」と「僕が殺します!」

Twitterに動画をアップしてくださってる方がいたおかげで、邪竜の章のスタルークが必殺を出すときのセリフが「僕が殺します!」だと知った。ああ、まあそうなるよね…という感じと、その意味を考えたらつらいよなーという気持ちと、あれこれ。まだあんまり考えがまとまってないけど書いてみる。

本編スタルーク「僕が守ります!」

まずは前提としてある本編スタルークの「僕が守ります!」について。

本編スタルークは戦闘終了時、いつも自分が討ち倒した相手から顔をそむけ、手にした弓で視界を遮るように立ちすくんで、

「す、すみません」
「し、死んじゃいましたか…?」
「僕なんかが…」
「なんとお詫びすればいいか…」
「勝たないといけないんで…」

とか、弱々しく悲しげな声をあげる。自分の矢が相手を射抜いて死なせてしまったかもしれないことに動揺しているかのように。

心優しく繊細なスタルークにとって、敵とはいえ他人を傷つけたり死なせたりするなど本来とても辛いことなのだろう。それでもスタルークが戦う理由は、必殺の一撃を繰り出すときの言葉に込められている。

「僕が守ります!」
「ブロディアのため」

このときばかりは、人が変わったかのごとく低く冷静な声だ。

大切な仲間たちを、祖国を、民を、「僕が守る」という使命感と決意があるからこそ、腹をくくって冷酷に相手を射抜くことができるのだろう。

邪スタルーク「僕が殺します!」

さて、本編世界と鏡写し、邪竜の章世界のスタルーク。

兄を見限り自分が王になることを望み、そのために兄暗殺の謀計を巡らせていたらしき邪スタルークくん。救いのない世界で破滅への道を突っ走ってる感あってかなしすぎ怖すぎなんだけど、まあ、スタルークがそっち方向に覚悟を決めたら非情にそのぐらいできちゃうのかもしれないよな…という謎の納得感もある。

邪竜の章のブロディア兄弟の兵種は「EXロード」。ex-は「元~」「前~」を意味する接頭語なので、EXロードはいわば「元ロード」だ。その説明には「誇りを失い、騎士道を忘れた者」とある。かつては二人とも騎士道を重んじる誇り高き王族だったのだろう。

戦闘中、本編世界から来たラピス、シトリニカと対峙したときの邪スタルークはこんなことを言う。

「僕を恨んで出てきたんですか? 僕が守ると言ったのに、ラピスを守れなかった僕を」
「シトリニカ…? ああ、守れなかった君の姿を見るのは辛いです」

「僕が守ると言ったのに」と言うからには、邪スタルークも本編スタルークと同様、かつては「僕が守ります!」と言っていたのだろう。「ラピスは僕が守ります」「僕がシトリニカを守ります」そして、おそらくは「父上をお守りします」「兄上をお守りします」「神竜様をお守りします」とも。

(本編ザフィーアと邪スタルークとの戦闘前会話では、邪竜の章の世界のザフィーアはモリオン王を守って死んだとわかる。おそらくこの世界ではモリオン王も先の神竜対邪竜の戦いの中で命を落としたのだと思われる)

だけど、邪スタルークが守りたかった大切な人たち、臣下たちも、家族同然だった大公家の皆も、父も、そしてついには神竜様も、守ることができず死なせてしまった。それなのに自分は生き延びてしまった(本当に生き延びたのかどうかについてはここでは置いとく)。同じく生き延びた兄との絆は、すっかり綻んでしまった。

邪スタルークにはもう、「僕が守ります!」と宣言して守るべき人は誰もいないんだ。

だから、目の前の敵を討ち倒す行為はもう「僕が殺します!」でしかない。かつてのように「守るために戦う」ではなく、ただ「殺すために戦う」だけ。つらいな…。

スタルークの個人スキル「僕が守ります!」と同じ効果(周囲2マスの味方が攻撃を受けた時1ターンの間力+3)の邪スタルークの個人スキルは「能力誇示」というスキル名になっている。もう「守る」ために発動する能力ではないことを表しているのだろう。

 

だけどどうして、もはや守るべき人もいなくなった世界で、邪スタルークは自分が王になりたいと考えたんだろう?

「ブロディアのため」という想いだけは失うことなくずっと抱き続けた結果なのかな。兄が王ではブロディアを守れないと思ったから?

それとも単にもうだいぶ頭がおかしくなっちゃってるのか。自分は兄とは違って有能だと示したいのか。3章で邪スタルークが撃破されるとき、「僕が、王であれば…こんなことには……」って言う。これよくわかんないんだけど、自分が敗れたのは王ではなかったからだと理由付けしてる? だとしたらだいぶ狂ってるよなと思う。

邪竜の章の本編スタルーク「あ、暗殺!?」

いずれにせよ、兄上を「僕が殺します!」ってなっちゃうのヤバすぎだよな…。

…って一番思ったのは、この地獄のような異界のブロディアでの戦闘に駆り出されてきた本編スタルークくんだと思う。

本編スタルークは邪スタルークと対峙したとき、「違う世界のゴミカスです…」とか名乗っただけで、途中からは独り言いっててもはや会話になってない。「僕もこんな風になりたかったなあ…」なんて言ってる。あまりのスタルークらしさにくすっと笑いを誘う場面だった。

邪スタルークが本編スタルークに自分の中にある嫌悪すべき弱さを見たのと鏡合わせのように、本編スタルークは自分と同じ姿で自信に満ちた邪スタルークに、自分の中にもありうる自信あふれる強さを見たかもしれない。

だとしたら、その後で邪ディアマンドの言葉で知ることになる、邪スタルークによる暗殺の謀計の話は、本編スタルークにとって相当な衝撃だったはず。

実際、異界の自分自身と対峙したときよりも、異界のディアマンドとの会話のほうが本編スタルークくん、よほどテンパってる。「そんなことするわけないです!」「僕なんかが偉大な兄上にそんなこと畏れ多い!」ってもう、自分自身と異界の自分、自分の兄上と異界のディアマンド、混乱して何言ってるかよくわからない。そんな感じで、ここも笑いを誘う場面になってた。

だけど、この戦いの後、冷静になって考えてみたときに本編スタルークくん病むんじゃないかな、なんて思う。

「こんな風になりたかった」と理想を見た異界の自分は、異界の兄を暗殺しようとしてたんだ。「もしかしたら自分の中にもそんな狂気が存在しうるんじゃないか?」とか悶々と考えたりしそう。きっとまた悪い夢見ちゃうやつだよ、かわいそうに…(とか言いつつ妄想をふくらませて楽しむなどするんだ、ごめんな)

 

追記①
回想戦やって邪スタルーク必殺の動画撮ってきた。

追記②
邪スタルークくんが王になろうとしている意味と「僕が殺します!」についてさらに考えているうちにたどりついた妄想のようなものを書いた。

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